相撲の世界には、一般の人にはなじみのない道具や風習が数多く存在します。
そのひとつが「明け荷(あけに)」。
これは、力士にとって非常に重要なアイテムであり、土俵入りや本場所での準備を支える“秘密道具”です。
この記事では、「明け荷とは何か?」という基本情報から、「葛籠(つづら)の中身」まで、詳しく解説していきます。
相撲ファンの方はもちろん、これから相撲をもっと知りたいという方にもおすすめの内容です。
「明け荷」ってなに?
「明け荷」とは、力士の締込(しめこみ)や化粧廻しなど、本場所や巡業で必要なものを入れて持ち運ぶために使う、葛籠(つづら)のことです。
これは、十両以上の関取力士のみ使うことが許されています。
十両ってなに?って方はこちらの記事をご覧ください↓

葛籠(つづら)と聞いて、真っ先に昔話の「舌切り雀」を思い出しました。
葛籠(つづら)とは、簡単に説明すると竹で編んだ蓋つきの籠(かご)のことです。
竹で編んでいるので、通気性に富んでいます。
また、表面に塗る漆や柿渋には抗菌・防虫・防腐作用があるので、大切な衣類を保存するのに最適であるといわれています。
だから力士は大切な締込や化粧廻しを「明け荷」に保存するのですね。
現在、「明け荷」を制作しているのは、京都の「渡辺商店」さんだけだそうです。
約100本の竹で編みこまれ、緑と朱色の漆で塗装された「明け荷」は日本の伝統工芸品ですね。
「明け荷」の大きさと重さは?
力士が担いでいる写真を見ると、とても大きくて重そうな箱だと伝わってきますよね。
明け荷のサイズは約縦40㎝、横80㎝、深さ30㎝で、中身が入ると、重さは約10㎏だそうです。
明け荷は誰が持つ?
明け荷は力士が自ら持つことはありません。
呼び出しと呼ばれるスタッフが、支度部屋から土俵入りの場所まで、丁寧に運搬します。
呼び出しは力士のサポート全般を担う存在であり、まさに縁の下の力持ちです。
明け荷(葛籠)の中には何が入っている?
明け荷の中身は、力士の取組や儀式に必要なアイテムが整然と詰め込まれています。以下が主な中身です。
1. まわし(本まわし・締め込み)
力士が土俵で使用するまわしは、明け荷の最重要アイテム。
通常は本場所専用の本まわしが収納されています。
2. 化粧まわし(幕内力士)
土俵入りの際に着用する化粧まわしも、明け荷に入れられます。
豪華な刺繍や房が施されており、力士の個性を表す大切な道具です。
3. 体を拭くためのタオル・てぬぐい
取組後の汗をぬぐったり、身だしなみを整えるために使われます。
4. 草履(ぞうり)
支度部屋と土俵の行き来に使用する草履も忘れてはならない道具です。
5. 髷(まげ)を整える道具
関取クラスになると髷を結う専属の床山が付きます。
明け荷の中には、その際に使うクシや整髪料も含まれています。
6. 化粧品や整髪料
土俵入りの際に顔や体に塗る白粉(おしろい)や、髷用のびんつけ油なども含まれます。
「明け荷」のデザインについて
「明け荷」は側面に四股名が彫られています。
四股名は左から順に書かれています。
「明け荷」は自分で買うの?
明け荷は、同期生や後援者から贈られることが多いそうです。
明け荷をもらうことで「関取」になったなと実感する力士もいそうですね。
もし、関取になって「明け荷」を手に入れても、幕下に陥落したら「明け荷」を使用できなくなります。
横綱は「明け荷」をいっぱい持っている!?
横綱は明け荷を3個使用しているそうですよ。
横綱は三つ揃いの廻しがあるので、明け荷が三つ必要なんですね。
明け荷の数も横綱級ですね。
「明け荷」はもともとは「開け荷」だった!
もともとは、「開け荷」とも書いていましたが、縁起から「明」の文字を使うようになったそうです。
まとめ
- 「明け荷」とは力士が本場所に出場する際に持参する道具一式を収納した箱のこと
- 「明け荷」は十両以上しか使えない
- 横綱は明け荷を3個も持っている
以上、『力士の秘密道具『明け荷』とは?葛籠に入っている中身を徹底紹介!』でした!
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